2024/07/30
夏が来るとお素麺を食べたくなるのはなぜでしょう。
逆にお素麺を食べたくなると「夏が来たなぁ…」と感じるのもなぜでしょう。
日本の夏に欠かせない食べ物“素麺”。
全国的に知名度の高いものとはちょっと違うかもしれませんが、こんな風に色とりどりのお素麺はいかがですか?
この「よみもの」を書くにあたって、自分とお素麺の思い出を考えてみました。
あんまりぱっと思い付かないんです。
割と記憶力がある方(自負)ですが、インパクトのある思い出というのがなかなか…。
「よく食べるのになんでかなー」
と思いながらお素麺に関わることを考えてみたら、“当たり前の存在すぎる”ということを閃きました!
「冷やし中華始めました」といった、世の中で誰でも分かるような季語や標語のようなフレーズがある訳でもなく、CMや何かで煽られるようなこともなく…。
麺つゆは最近では年中陳列されていて、ふと気づいたら5月末くらいにスーパーの面に出ているお素麺。
料理が面倒な時、時間がない時、さっと作れて意外とアレンジも効く。
そんなお素麺を実はここ数年、オンラインショップでも毎年取り扱っています。
お中元の時期にたくさん売れているので
「やっぱり夏はお素麺なのね」
と感じます。
うちの実家でも母親がスーパーで買っていたような気はしないので、どこかから頂いてきたものだったのかもしれません。
私が子どもの頃は夏は最高気温が30℃ちょっとでした。
夏休みの自由研究や日記に毎日気温を書く欄があってそれを大人になってから発見して読んでみたら、
「最高気温33℃、真夏日、すごく暑い!」
と書いてありました笑
今では40℃近くになりますが35℃を超える日はほとんどなかったと思います。
小学生の社会の授業で「環境問題」が取りだたされていた最盛期だったと今振り返っています。
その頃の教科書には「10年後に平均気温が5℃上昇する」と書かれてあったと思うのですが(ちょっとあやふやです)、平均気温が5℃も上がるということは、最低気温も高くなるし最高気温も高くなるということ。
「そんなことある?」
と思っていたことが現実味を帯びているんですね。
実家は一軒家なのですが、庭は東西に風が抜けるような配置になっていて、勝手に「風の通り道」と呼んでいました。
夕方になると、さぁ…っと風が抜けて今と比べるとだいぶ涼しかったのを覚えています。
日中の気温差もあって「夕立」もちゃんとあった。雨が降った後には風が抜けて涼しいんです。
そう、「涼しい」という感覚があったんですよ。
今は夕方になっても「涼しい」という感覚あまり無いですね…
夏は夕方くらいから近所の人たちのそれぞれの家の庭で、バーベキュー、流し素麺、などなどしていて、子どもはお互いの家の庭を簡単に行き来して好きなものを食べる。
今のように犯罪で危ないことも少なく、柵や壁、植木などで家の周りを囲んでしまったりしていなかったので、
「〇日の□時くらいから流し素麺組み立てるから遊びにおいで。夕方くらいから食べるよ」
と、どこかの家族が言い始めると、子どもがそれを家の大人に伝えて、
「じゃあうちは夕方から庭で果物でも切ろうか」
とか
「肉焼くか」
とか、今考えるとアクティブだったなと思いますし、近所の大人がみんなフットワーク軽かったなと思います。
家がそもそも山寄りなので七夕の季節には、子どもだけで竹を切りにいったり、庭でテントを立ててキャンプをしている家もあったりしたので、子どもの夏は今よりもずっといろんなことを経験させてもらえた「特別」な時間でした。
そんな特別な時間のうちのひとつに、普段は思い出すことがなかなか無い「お素麺」がしれっとあるんですよね。
お素麺が涼しい印象があるのは、そういった思い出や記憶はもちろんなのですが、やっぱり一緒に思い出すものもあるよなと思います。
竹でできたざる、レトロな切子のガラスの器、または、擦りガラスの素麺食器、冷えたお茶に生姜や葱の爽やかなすっきりした香り。
大人になってからにゅう麺というものも知りましたが、お素麺で思い出すのはやっぱり「氷水と一緒のさらさらつやつやなお素麺」ではないでしょうか。
祖父母の家の食器棚にあった切子のガラスの器は、夏には大活躍で私は密かにお気に入りです。
(最近使われているのを見ないですが今もあるのかな、とふと思いました。)
そこに茄子の煮びたし、胡瓜の細切り、錦糸玉子…
トマトの小さい角切りにごま油と塩昆布を和えたりして素麺の上にかけたり…
もう想像するだけで食べたくなります。
帰ったら作ります。
アレンジが意外と効くのも大人になってから感じたことですが、もっぱら醤油ベースの普通のつゆでしたが、胡麻つゆをもらったのも美味しかったし、柚子つゆも美味しかったです。
これを書いている私は、実は食品ジャンルの担当ではありません。
数年前に「三輪そうめん」さんに依頼してオリジナルパッケージで作成した素麺を担当していたのは別のスタッフです。
なのですが、私は小さいサイズの方の素麺の表に付ける「水引」のデザインをそのスタッフから頼まれていました。
その頃は「ツナグ・キョウト」というタイトルで京都の深堀りをテーマに、コアな京都を識ってもらうという特集の企画担当していて、その特集の中のひとつとしてできたのが「みわのにじ そうめん虹色セット」のオリジナルです。
木箱入りのきちんとした贈り物用にも相応しいものと、もっと若い世代がカジュアルに季節の贈り物ができるようにと考えた小さいものとがあります。
お素麺担当のスタッフは、自分でデザインを0から考えるのは苦手(と言ってたけど本当はどうでしょう)で、私がだいたいボールペンで書いたものからデザイン起こしをしていました。
中に並べるにじいろの素麺の1色1色を束ねる帯をどうするか…
擦りガラスっぽく見えるような半透明の紙を1枚挟む方がおしゃれじゃないか…
詰め作業・帯の取り付け、どこまで三輪そうめんさんにしてもらえるのか、費用は…
実際食べてみてどうだったのか…
撮影はどんな風に撮りたいのか…
いろんなことを話し合いました。
夏の大原で緑と光が眩しい時期に、昔ながらの日本家屋の食卓で撮影のために実際に茹でたお素麺を食べたのは、市内の暑さから避暑地へ逃げてきたような感覚になって楽しかったです。
今そのスタッフはもう退社してしまっていないのですが、これからも毎年夏にお素麺とツナグ・キョウトの特集を見かける度にしれっと記憶に出てくるんだと思います。
今回冒頭で「お素麺のぱっと出てくる思い出無いな」と出だしから「えっ」となるようなことを書きましたが、ひとつ考えると次々思い出されるものですね。
今年の夏ももう何食分、食べたことか…
またどこかで仲のいい人達と一緒に、流し素麺がしたいです。
筆記者:K
もしよろしければ、お客様のお素麺の思い出を教えてください。
もちろんもしお買い上げいただいていましたら「みわのにじ」へのご意見でも構いません。
どこかに掲載するということはありませんが、私の「お素麺の思い出のひとつ」に加えさせていただきたいです。
メールは、こちら
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